泣きっ面に蜂、という言葉があるが、けっこうヘコんでしまうような出来事は、続けておこるものである。
秋のこの寂しい雰囲気も手伝ってか、いろんなことにいちいちヘコんでしまう。ひとりで淀川の土手に座り込んで、夜の街を眺めるくらいヘコんでしまう。となりに座っている、きっと高校生だろう若いカップルが、なんか、いちゃいちゃとしている。なんか男の子が女の子の耳のあたりを、ふんふんやっている。ふんふんやりながら、女の子のあごのあたりを触ろうとする。なんだ、それは。どんな愛情表現だこのやろう。うらやましい。おれは、ヘコんでるのである。よそでやってくれないか。集中してヘコめないじゃないか。
きっとふたりは、これから冬になって土手で座って話せないくらい寒くなっても、マフラーを同じに巻いて、ふんふんやっているのだろう。そしておれはそれを見て、ヘコんだり、嬉しくなったりして、冬を越すだろう。