体を洗う

ボディソープが、きれていたのである。
それを気付いたのはもう、お風呂に入ってシャンプーもトリートメントも終えて、さあ体も洗うぞという最悪のタイミングだったのである。ボディソープが、きれちょる。弱酸性ビオレのボディソープが、きれちょる。これは、なんとも由々しき事態である。しかし、体は洗わなければ。おれは迷うことなく、シャンプーに手を伸ばしたのである。でも、シャンプー、これあれね、けっこうボディソープ代わりに使っても、泡立つんね。もう、なんつうか、泡だけなら負けない感じ。
おれは、シャンプーとボディソープの科学的な違いとかは知らないけど。でも、きっと、シャンプーでもぜんぜん体、洗える。
しかしみんな誰一人として抗うことなく、ボディソープで体を洗い、シャンプーで髪を洗うのである。それは、なんでだ。わからないけれど、たぶん、それが常識だったり、秩序だったりするんじゃないだろうか。ボディソープで体を洗うことはきっと、最低限の秩序だ。みんなが明日から、シャンプーで体を洗って学校や会社に行くようになるのは、なんかいやだ。
という感じで、次の日、ちゃんと弱酸性ビオレのボディソープを買って、ごしごし体を洗ってすっきりしたのである。