帰りの船の上で、海を見ていた。
夜の海は、暗闇である。なんかもう、わけわからないほど、暗闇である。目で捉えることが出来ないくらい、考えられないくらい、とてつもない闇。大きいのか小さいのか、いいのかわるいのか、なんつうか、自然とか不自然とかも、ぜんぜんそういうの関係なくて、ただここに、すごく深い暗闇があるっていうのを、ぐわーんと感じた。その暗闇に溶け込むように食べられよう感じが、おそろしかった。でもなぜか、ずっと、それこそ朝がくるまで、暗闇を見ていたのである。
むこうには灯台の明かりが見えていて、風の音と、あとは暗闇が、なんかきれいだった。