デザインのデザイン

グラフィックデザイナー原研哉氏の著書『デザインのデザイン』を読む。
その本のなかで、山口県光市にある梅田病院のサイン計画という、氏がデザインしたサインシステムについて紹介されているのだけど、これがなかなか、目からウロコな内容だった。そのサインは、なんと、白い布にプリントされているという。ここは何号室ですよーとか、何階ですよーとか、誘導のためのサインがプリントされた白い布を、ソックスのように、シーツを替えるように、取り付ける部分から着脱できるようになっているという。そして本来、布の持つやわらかさで、このサインが取り付けてある空間もやわらかい表情になるという。
いやー、でも、それ汚れるよ。しかも白って。一番汚れやすいじゃん。と、ふつう思う。しかし、それは、病院側が「汚れやすいものを常に清潔に保つ」ということを実践するためなのだという。汚れやすいものを常に清潔に保つことで、いつも最高の清潔さを訪れる人のために確保してますよーという表明になる。アピールになる。汚れを隠すんじゃなく、汚れを洗って清潔さを見せているのだ。
利便性や快適さを追っかけるだけじゃ、いかんなぁ。

デザインのデザイン

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