帰り道

この季節、九月ごろになると、学校から二人で帰るティーンエイジカップルたちをよく見かける。文化祭か何かの準備で下校時間がいつもより遅いのだろう。ゆっくりと自転車を押しながら、とりとめのない話をしながら、駅までの道を歩いていく。ときおり二人が見せる笑顔は、いつも教室で友達とげらげら笑っているときの笑顔ではなく、好きな相手にしか見せない特別な笑顔なのだろう。二人は日常の隙間にある非日常に恋をしながら歩いていく。
いつか二人がお互いに、傷付けあい罵りあい憎みあうことになるとしても、そうだとしても、二人で歩く姿はとても、キレイなものに見える。そしてそれは本当に、キレイなものだと思う。